形象と細部

Specimen book 2018
形象と細部形象と細部形象と細部形象と細部

RICOH Japanのオンデマンド商用印刷機の印刷見本冊子を制作しました。既存の印刷見本とは異なる視点からコンセプトを立ち上げ、インキの発色や描画の精度などのスペック以外に訴えかける、印刷の可能性を感じるような見本を目指しました。印刷の品質の追求よりも、印刷を使ってどこまで表現することができるのか、こういうものでも作ることができるのかという視線をもってもらえるよう、企画の段階からアートディレクションまで携わっています。 冊子の内容は、よくある印刷見本のように綺麗な写真を並べた構成にせず、モノの形とその細部にフォーカスしたオリジナルのアートブックのように編集しました。タイトルの『形象と細部』はそのテーマをシンプルに表現したものです。 その形状の細部に特徴のあるモノを3つ選び、写真家の伊場剛太郎さんによる精緻な表現でメインビジュアルを撮り下ろしました。また撮影した被写体の形を模倣して切り出したペーパークラフトも合わせて撮影し、それに使用した紙と同じ紙を使用して印刷機にかけることで、異なる紙に印刷したときの違いも比較できる仕様になっています。文章はアートに造詣が深い編集者の堀江由利子さんによるものです。 仕上がりは最大幅で印刷できる特徴も生かした横長の蛇腹折りで、A4規格内に収まる冊子にまとめています。印刷の特性、写真の表現、エディトリアルとしてのレイアウトを詰め込んだユニークな見本帳にすることができました。 — Client: Ricoh Japan Art Direction / Design: Keisuke Nakamura Photograph: Kotaro Iba Word: Yuriko Horie