富士と共に



米寿を迎える著者の人生譚を短歌という形で収めた一冊です。装丁と組版のブックデザイン及び本文に使用する平仮名書体のタイプデザインも手がけました。 父母への想い、戦争と犠牲、富士への憧憬や旅行という非日常など、日々に揺蕩う心中と、それとは対照的に凛と屹立する富士の姿が浮かぶ、人と生活のあわいでしか生まれ得ない物語が綴られています。 本文組版では、著者の筆跡を元にした平仮名書体を制作して、既存の漢字と混植して歌を組んでいます。判読性や活字の特徴、書体の時代性などは脇に置き、あくまで著者の人生譚と歌を肉薄させるための活字書体として制作しました。 — Client: Madoka Fukasawa Art Direction / Design: Keisuke Nakamura