プルーストを読む生活

Books 2021
プルーストを読む生活プルーストを読む生活プルーストを読む生活プルーストを読む生活

会社員である著者が、ある日マルセル・プルーストの大著『失われた時を求めて』を買った日から毎日のことを日記に書き記した書籍。読書のこと、生活のこと、日々がすぎる中で一緒に消えてしまうなんでもないことから、本を読むことで生まれる思考の楽しさなど、特定のジャンルに当てはまらない本書の魅力が伝わるようにブックデザインしました。 版元であるH.A.Bの喧伝にある“あたらしいロングセラー”が示す通り、書店やSNSで派手に目立って売れていくのではなく、ゆっくりと読み手に手渡っていく本にしていくという考えから造本を検討しました。自立できるほど背幅に厚みのあるページ数なので、手に持って読むというより机に置きながら読むことを想定し、背に空洞をつけるホローバックを採用することで、ページを大きく開いてノド側の本文も読みやすく配慮しています。 カバーは西淑さんによるイラストレーションをスミ混じりのシルバーで印刷して、手触り感のあるブンペルの紙に鉛筆で直接装画を描いたようなワイルドな仕上がりを目指しました。タイトルや著者名やイラストの散漫としたレイアウトは、読書において定型のない本書の楽しみ方を暗示しています。 — Client: H.A.B Art Direction / Design: Keisuke Nakamura illustration: nishi shuku